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SS『回転寿司のネタを一皿だけ選ぶという覚悟! そして、その一枚だけで会計を済ませる勇気だ!』 [創作コラム]
六畳一間のアパートに暮らす謎の五人組はいつも貧乏暮らし。
今日も食費を切り詰めての貧乏生活。
そんな彼らだって、たまには贅沢をしたい。
だって、人間だもの!
そんなショートストーリーです。
『勇気と覚悟』
ある日リーダーは俺らに向かってこう言うたんや。
「ここに五百円玉がある」
「あるな」
即座に答える俺の名はマサル。
「ああ、あるなぁ」
続いてタカシがそう言った。
「………………」
仲間内で一番無口なギンさんは黙ってその置かれた五百円玉を見つめていた。
おそらくはこの「500」って書いてある方が表だったか裏だったかを考えているんやろう。
「その五百円がどうしたんだいリーダー?」
中途半端に顔だけはいいアキラがリーダーにそう質問した。
「次回我々の給料日までの出費や経費、その他もろもろを差し引いて、本日の食費はこの五百円であることが現時刻をもって判明したことを報告するものである!」
「な、なんだってーーーーっ!?」
俺とタカシとアキラは異口同音にそう叫んだ。
五百円という金額は一日の食費としてそれはそれは非常に高額やった。
「そんな! リーダー、五百円あれば無理して今日使わんでも、百円のソバやったら5袋も買えるやないか!」
俺は即座にそう説明した。
「そうや! 無理して五百円もの大金を食費に費やさなくてもええやんか!」
マサルの言葉にギンさんもコクコクと頷いている。
「リーダー、もしかしてその五百円を使って何か考えがあるんだね?」
「さすがはアキラ、察しがいいな」
アキラめ、顔が良いからって次のリーダーの座を狙おうっていうのか?
「いや、そんくらいの察しやったらとっくについてたで!」
まぁ俺やアキラで無くても基本誰もがリーダーに何か意図があると思うやろ?
「俺だって、そのくらいの冊子なら付録がついてたぜ!」
まぁ……タカシは馬鹿なので例外とする。
………………。
「実はわたしに良い考えがある!」
「その言い回しは基本的にフラグやで、リーダー」
俺はリーダーに一応ツッコんどく。
「この五百円を使って最高の贅沢をしてみようじゃないか?」
「最高の?!」
「贅沢?!」
俺とタカシでオウム返しをした。
「ああ、これでみんなで寿司でも食いに行こうじゃないか」
………………。
「リーダー、可哀相に……」
心底可哀相な気持ちになったのか、自分よりも馬鹿が居ることに安堵を覚えてなのかはわかりかねるがタカシは本気で心配そうな声を出していた。
「いくら俺たちがバカでも、それくらいはわかるでリーダー?」
リーダーが俺たちを馬鹿にしているのかもとそう言ってみる俺。
「いやぁリーダー、さすがに五百円で寿司は無理があるって思うよ?」
チーム内で良識派を気取っているアキラでさえこのリーダーの提案には苦笑している。
だが我らがリーダーはそんなことではへこたれない!
「なあ、お前ら……何か盛大な勘違いをしているようだから教えてやるよ」
「いいか? この世にはな、回転寿司っていう店があるんだよ!」
な、なにぃぃぃぃーーーーーっ!!!
俺たちの背後に雷鳴が轟き雷が奔った!
「な、なんやて……あの地上に存在する竜宮城と噂に名高い……」
「タイやヒラメが舞い踊るあの回転寿司のこと?!」
「そうだ……その回転寿司の店では一皿がなんと…………百円なんだ!」
ピッシャーーーーーーーン!(落雷)
リーダーの追い打ちに俺たちは更に愕然と騒然となる。
「た、確かにその金額やったら寿司は食える! 食える……が……!」
俺は明らかに動揺していた。
「……一人頭百円……」
さすがのギンさんも同様に動揺していた。
「リーダー……そりゃあ一人一皿だけってのは贅沢といえば贅沢だけどさ……たくさんある回転寿司の中から一人一皿なんて……やっぱり……」
アキラがまともな意見を言ってリーダーを止めようとしたその時。
「バカヤローーーーッ!!!」
リーダーは叫んだ。
「いいか? お前達に一つ言ってやろう! 今のお前達に足りないのは、回転寿司のネタを一皿だけ選ぶという覚悟! そして、その一枚だけで会計を済ませる勇気だ!」
ピッシャーーーーーーーン!(雷鳴)
俺は目から鱗が剥がれ落ちるような気持ちだった。
「お……俺たちが間違ってたで、リーダー! 俺たちはまだまだ覚悟が足りなかったようやな!」
「マサルならわかってくれると思ってたよ!」
堅く握手する俺とリーダー。
「たった一皿のネタに悩み苦しむもまた一興……」
と何かを悟りきったようなギンさん。
「考えてみればちょっと面白そうかも……」
アキラもなんとか乗り気になっていた。
「やったー! 今日は寿司だーーっ!」
タカシは一人なんか喜んでいた。
「たった一皿だろうが寿司は寿司! これ以上の贅沢はあるまい!」
とリーダーの言葉に一同は力強いうなずきで応える。
「ならば異論は無いな! 行くぞ!」
「おうっ!」
寿司屋にて
五人が店員に案内されてカウンター席に並ぶ。
「おお!ガリや! ガリ喰おうぜ、ガリ!」
とガリを連呼して、マジックカットのガリを開けようとしている。
「おう! 食え食え!これならいくら喰ってもタダだからな!」
「さ~て何にしようかなぁ? ギンさんはなににするのさ?」
「……バッテラ」
さすがはギンさん……渋いチョイスやな。
「俺、ウニ食べよ~っと!」
アキラ、いきなりかい!
いきなりウニかいっ!
これやから高級嗜好のヤツは好かんねん。
「俺イカ好きやねん~♪」
タカシよ……
イカて!
イカてか!
お前、こんだけある中からなんで躊躇無くイカやねん?
もっと他にあるやろ?
こう、例えば……。
「握りと言えばやっぱりトロだよな」
さすがリーダー、わかってはる!
やっぱトロは外せへんよな!
っていつの間にか俺以外全員既に皿選んでとっとるがな!
いや、ここで焦って下手なもん喰って、あとで後悔すんのはイヤやからな。
落ち着いて良いネタが廻ってくるのを待つのだ!
ピンポーン!
『ハイ、御注文うかがいます』
「玉子とウニとサラダ巻き」
『ハイ、かしこまりました』
はっ!!!!!
向こうのレーンではなんと呼び出しして注文しているではないか!
しまったああああああああっ!!!
その手が在ったかぁぁぁぁっ!!!
しかし、もう俺以外の全員が寿司をチョイスしてしまっているのに一つだけ頼むのもなんだか気が引ける。
ここはもう少し待つか……。
しかしバッテラ、イカ、ウニ、トロとくれば、あと俺が狙うべきはウニと双璧を為す回転寿司界の高級ネタ、イクラ!
俺はレーンを睨みつけていたら実にタイミング良くイクラが流れてきたではないか!
俺は待ってましたとばかりにその皿に手を伸ばした。
とカウンターの向こうからふと会話が聞こえてきた。
「あ、それ、わたしのエビと交換しない?」
「うん、いいよー」
し、しまったーーーーーっ!!!
俺としたことが盲点やった!
なんも一人で一種類だけ食べることあれへんかってんや!
よし!
ここは一つ俺も誰かと交換や!
「………………」
あかん。
もうみんな喰い終わったる。
リーダーもアキラも、ギンさんも……タカシだけがようやく今、二巻目のイカを口に頬張るところや。
お前どんだけゆっくり味わって喰うとんねん。
まぁイクラとイカとでは完全に俺の方が損するからあまってても交換たのまへんけど……。
俺は、一人黙々とイクラの軍艦巻きを頬張った。
久しぶりに喰う高級食材は胃袋に染みた。
そして会計を済ますとガリの袋をみんなでもらえるだけもらって店を出たのである。
その帰り道。
リーダーは言った。
「一人一皿だったら、交換して食べたらよかったなぁ……今更だけど」
「ほんっま、今更やな!」
俺は半ば本気で怒って言ったのだった。
今日も食費を切り詰めての貧乏生活。
そんな彼らだって、たまには贅沢をしたい。
だって、人間だもの!
そんなショートストーリーです。
『勇気と覚悟』
ある日リーダーは俺らに向かってこう言うたんや。
「ここに五百円玉がある」
「あるな」
即座に答える俺の名はマサル。
「ああ、あるなぁ」
続いてタカシがそう言った。
「………………」
仲間内で一番無口なギンさんは黙ってその置かれた五百円玉を見つめていた。
おそらくはこの「500」って書いてある方が表だったか裏だったかを考えているんやろう。
「その五百円がどうしたんだいリーダー?」
中途半端に顔だけはいいアキラがリーダーにそう質問した。
「次回我々の給料日までの出費や経費、その他もろもろを差し引いて、本日の食費はこの五百円であることが現時刻をもって判明したことを報告するものである!」
「な、なんだってーーーーっ!?」
俺とタカシとアキラは異口同音にそう叫んだ。
五百円という金額は一日の食費としてそれはそれは非常に高額やった。
「そんな! リーダー、五百円あれば無理して今日使わんでも、百円のソバやったら5袋も買えるやないか!」
俺は即座にそう説明した。
「そうや! 無理して五百円もの大金を食費に費やさなくてもええやんか!」
マサルの言葉にギンさんもコクコクと頷いている。
「リーダー、もしかしてその五百円を使って何か考えがあるんだね?」
「さすがはアキラ、察しがいいな」
アキラめ、顔が良いからって次のリーダーの座を狙おうっていうのか?
「いや、そんくらいの察しやったらとっくについてたで!」
まぁ俺やアキラで無くても基本誰もがリーダーに何か意図があると思うやろ?
「俺だって、そのくらいの冊子なら付録がついてたぜ!」
まぁ……タカシは馬鹿なので例外とする。
………………。
「実はわたしに良い考えがある!」
「その言い回しは基本的にフラグやで、リーダー」
俺はリーダーに一応ツッコんどく。
「この五百円を使って最高の贅沢をしてみようじゃないか?」
「最高の?!」
「贅沢?!」
俺とタカシでオウム返しをした。
「ああ、これでみんなで寿司でも食いに行こうじゃないか」
………………。
「リーダー、可哀相に……」
心底可哀相な気持ちになったのか、自分よりも馬鹿が居ることに安堵を覚えてなのかはわかりかねるがタカシは本気で心配そうな声を出していた。
「いくら俺たちがバカでも、それくらいはわかるでリーダー?」
リーダーが俺たちを馬鹿にしているのかもとそう言ってみる俺。
「いやぁリーダー、さすがに五百円で寿司は無理があるって思うよ?」
チーム内で良識派を気取っているアキラでさえこのリーダーの提案には苦笑している。
だが我らがリーダーはそんなことではへこたれない!
「なあ、お前ら……何か盛大な勘違いをしているようだから教えてやるよ」
「いいか? この世にはな、回転寿司っていう店があるんだよ!」
な、なにぃぃぃぃーーーーーっ!!!
俺たちの背後に雷鳴が轟き雷が奔った!
「な、なんやて……あの地上に存在する竜宮城と噂に名高い……」
「タイやヒラメが舞い踊るあの回転寿司のこと?!」
「そうだ……その回転寿司の店では一皿がなんと…………百円なんだ!」
ピッシャーーーーーーーン!(落雷)
リーダーの追い打ちに俺たちは更に愕然と騒然となる。
「た、確かにその金額やったら寿司は食える! 食える……が……!」
俺は明らかに動揺していた。
「……一人頭百円……」
さすがのギンさんも同様に動揺していた。
「リーダー……そりゃあ一人一皿だけってのは贅沢といえば贅沢だけどさ……たくさんある回転寿司の中から一人一皿なんて……やっぱり……」
アキラがまともな意見を言ってリーダーを止めようとしたその時。
「バカヤローーーーッ!!!」
リーダーは叫んだ。
「いいか? お前達に一つ言ってやろう! 今のお前達に足りないのは、回転寿司のネタを一皿だけ選ぶという覚悟! そして、その一枚だけで会計を済ませる勇気だ!」
ピッシャーーーーーーーン!(雷鳴)
俺は目から鱗が剥がれ落ちるような気持ちだった。
「お……俺たちが間違ってたで、リーダー! 俺たちはまだまだ覚悟が足りなかったようやな!」
「マサルならわかってくれると思ってたよ!」
堅く握手する俺とリーダー。
「たった一皿のネタに悩み苦しむもまた一興……」
と何かを悟りきったようなギンさん。
「考えてみればちょっと面白そうかも……」
アキラもなんとか乗り気になっていた。
「やったー! 今日は寿司だーーっ!」
タカシは一人なんか喜んでいた。
「たった一皿だろうが寿司は寿司! これ以上の贅沢はあるまい!」
とリーダーの言葉に一同は力強いうなずきで応える。
「ならば異論は無いな! 行くぞ!」
「おうっ!」
寿司屋にて
五人が店員に案内されてカウンター席に並ぶ。
「おお!ガリや! ガリ喰おうぜ、ガリ!」
とガリを連呼して、マジックカットのガリを開けようとしている。
「おう! 食え食え!これならいくら喰ってもタダだからな!」
「さ~て何にしようかなぁ? ギンさんはなににするのさ?」
「……バッテラ」
さすがはギンさん……渋いチョイスやな。
「俺、ウニ食べよ~っと!」
アキラ、いきなりかい!
いきなりウニかいっ!
これやから高級嗜好のヤツは好かんねん。
「俺イカ好きやねん~♪」
タカシよ……
イカて!
イカてか!
お前、こんだけある中からなんで躊躇無くイカやねん?
もっと他にあるやろ?
こう、例えば……。
「握りと言えばやっぱりトロだよな」
さすがリーダー、わかってはる!
やっぱトロは外せへんよな!
っていつの間にか俺以外全員既に皿選んでとっとるがな!
いや、ここで焦って下手なもん喰って、あとで後悔すんのはイヤやからな。
落ち着いて良いネタが廻ってくるのを待つのだ!
ピンポーン!
『ハイ、御注文うかがいます』
「玉子とウニとサラダ巻き」
『ハイ、かしこまりました』
はっ!!!!!
向こうのレーンではなんと呼び出しして注文しているではないか!
しまったああああああああっ!!!
その手が在ったかぁぁぁぁっ!!!
しかし、もう俺以外の全員が寿司をチョイスしてしまっているのに一つだけ頼むのもなんだか気が引ける。
ここはもう少し待つか……。
しかしバッテラ、イカ、ウニ、トロとくれば、あと俺が狙うべきはウニと双璧を為す回転寿司界の高級ネタ、イクラ!
俺はレーンを睨みつけていたら実にタイミング良くイクラが流れてきたではないか!
俺は待ってましたとばかりにその皿に手を伸ばした。
とカウンターの向こうからふと会話が聞こえてきた。
「あ、それ、わたしのエビと交換しない?」
「うん、いいよー」
し、しまったーーーーーっ!!!
俺としたことが盲点やった!
なんも一人で一種類だけ食べることあれへんかってんや!
よし!
ここは一つ俺も誰かと交換や!
「………………」
あかん。
もうみんな喰い終わったる。
リーダーもアキラも、ギンさんも……タカシだけがようやく今、二巻目のイカを口に頬張るところや。
お前どんだけゆっくり味わって喰うとんねん。
まぁイクラとイカとでは完全に俺の方が損するからあまってても交換たのまへんけど……。
俺は、一人黙々とイクラの軍艦巻きを頬張った。
久しぶりに喰う高級食材は胃袋に染みた。
そして会計を済ますとガリの袋をみんなでもらえるだけもらって店を出たのである。
その帰り道。
リーダーは言った。
「一人一皿だったら、交換して食べたらよかったなぁ……今更だけど」
「ほんっま、今更やな!」
俺は半ば本気で怒って言ったのだった。
2013-06-17 23:39
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